「英会話が上達する人はこんな人!」みたいな記事をよく見かけます。そこで私もこのテーマについて考えてみました。
英会話が上達しやすい人ってどんな人なんでしょうね。
頭がいい人?
学力がある人?
記憶力がある人?
私はどれも違うと思っています。
上に挙げた3つは、どれも英語を数学や物理、古典や日本史なんかの「科目」と同列に捉えてしまっている人に多い誤解です。
英語、とくに英会話の学習って他の科目とは性質がまったく違うんですよね。
すごく乱暴な言い方をしてしまうと、英語は「単に言葉を覚えること」、ですからね。
学校の勉強ができる(できた)かどうかは関係ありません。
逆に、この誤った認識自体が英会話習得の大きなブロックになります。
「学校の英語の成績が悪かったから英会話できるようになるかな?」という不安ならまだ分かりますが、
「学校で数学の成績も物理の成績も悪かったし、そんな自分が英会話をマスターするなんて無謀かな?」、これはおかしいですよね。こう書くと、少し違和感を感じると思ううんですが、案外そういう思考回路になってして英会話への本格的な挑戦や、再チャレンジを躊躇してしまう人って多いんですよね。
だから、まずは、「英語は他の科目の勉強とは性質が違う」、「単なる言葉を覚えること」、「英会話の上達習得に学力は関係ない」というのを自分に納得させてください。
これを読んで下さっているのが、学生の方で、あんまり学校の勉強好きじゃないなあって人でも、英語は話せるようになりますからね。大丈夫。
どんどん次に進みましょう。
意志が強い人?
こう思っている人も多いような印象を受けますが、これも私に言わせればそんなことないでしょ、という感じです。
だって、そもそも強い意志を必要とする時点で無理してるってことですからね。
コミュニケーションをとるのが好きな人
これはあります。
コミュニケーションをとりたくて仕方ない人、
これはもっとありますね。
もしもあなたがそういうことに抵抗がない、例えばどこかで隣り合った人と何気なく言葉を交わすのにも違和感がない、そういうのが自然だと言う人であれば英会話の上達も早いはずです。
夢、目的がある人
これはたぶん最もよく聞く「上達しやすいタイプ」なんじゃないでしょうか。
これには私もある程度賛同します。
ちなみにその「夢・目的」は崇高なものじゃないほどいいというのが私の意見ですね。
例えば、「日米の懸け橋になります!」よりも「留学してイギリス人の可愛い彼女作るぜ!」、こっちの方が早く上達するんじゃないでしょうか。
でも、目的や夢が明確な人になることが英会話習得のために必須の条件かといったらそうでもないと思います。
別に、留学して海外で何かを学びたいって言う人がみんな上達が早いかというとそうじゃない。
だからこそ、そういう悩みを持った人のためのコース(半年後の留学に間に合うように日常会話を特訓するコースとか)があったりするわけですから。
じゃあ私が思う上達しやすい人とはどんな人か?
私が至ったのはすごくシンプルな結論でした。それは、
言葉に対する好奇心が強い人
これです。
これは強い。こういうタイプの人が秘めたポテンシャルはすごいと思いますよ。
言葉自体が興味の対象で、その言葉を口に出すこと自体が楽しいのですから、
モチベーション維持の問題なんかも関係ありません。
だから、若者言葉に言葉の乱れが~と眉をひそめる人、スラングに眉をひそめるような人よりも、
むしろ、流行語とかニュースで時の人が使っていて話題になったフレーズとか、
国内のネットスラングとか、面白がって自分もつい口に出してしまう、使いたくなってしまうそういう人は英会話も伸びるポテンシャルを秘めています。
乱れた言葉を使う方が英会話がうまくなるとかそんなことを言っているわけではありませんよ。
新しい言葉に対しての好奇心が強い人、新しい言葉を使うことに抵抗がない人、こういう人は英語を学んでも伸びやすいという話です。
新しい言葉を使いたい
知りたい
言葉で遊ぶのが好き
新しい言葉に触れるとなんか口に出してみたくなる。
今の中高生の子なんかこれがすごくうまいと思いますね。
言葉に対する感性がフレッシュです。
新しい言葉をどんどん作り出してそれを使って広めていく。
ちょっと前に、日本の若者の読解力が低下してそれはSNSのせいだみたいな論調になっていましたが、SNS世代ならではの言葉への柔軟性というのはもっと評価されてもいいと私は感じますし、
それが外国語を学ぶ上で、プラスになることもあると考える人がもっと出てきてもいいのになあと思います。
新しい言葉への関心、好奇心、それを口に出してみたくなる心理、
これって、本来は人間の根本的な欲求だと思います。
そして、意味や綴りが分からないうちにそれを使うことで感情や場面とその言葉の音紐づけされて、やがて正しい場面で自分の言葉として使いこなすことができる。
これが人間が母語を覚えるプロセスそのものです。
たとえ意識していなくても、そういう新しい言葉との出会う楽しさを知っている人は、間違いなく英会話も上達します。
で、残念なのは上でお話ししたようなものを語学学習のアドバンテージだと気づいている人があまりいないことです。
英会話の学習サイトなんかでもこれを指摘しているものは(少なくとも私が見た中では)皆無でした。
騙されたと思って、英語も同じようなノリで取り組んで見て欲しいですね。是非ともポテンシャルを活かしてください。
こういう言語感覚に優れている人は、英語のネットスラングなんかから入ってもいいと思います。英語学習者向けのチャットアプリを活用して練習するのもいいでしょう。
まずは、文法を学んで文を組立てていく練習よりも、「とっさのひとこと」ではないですけど、場面ごとのフレーズ集などで短い一言フレーズを覚えていくのも合っていると思います。
ここも誤解しないでほしいのは、積極的にスラング使えって話をしているんじゃないですよ。
ちゃんとした文法は会話に必要ないという議論でもありませんからね。適性を活かせる入口から入った方がいいじゃありませんか。
多くの人の中に、日本語と英語はちがうという思い込み、英会話ができるようになることは特別なこと、ハードルが高いことという思い込みがあります。そして、英語は真剣(マジメ)に「勉強」しなくちゃいけないもの、こういう思い込みも同時に持っています。
だから、普段言葉に対して柔軟で、新しい言葉なんかも難なく使いこなしている人なのに、いざ英語を身につけるとなると、勉強モードになって、勉強によって言葉を暗記したり記憶したりしなくちゃいけないと思ってしまう。とたんに言葉を吸収することをしんどく感じてしまう。
自分でポテンシャルを殺してしまうんです。
これ、ほんっっとうにもったいないと思うんですよね。
親御さんや先生に言いたい、国語力は確かに英語力にもつながります。でも、言語センスということに関して言えば、「正しい日本語」を使うことだけが正解ではありません。言語感覚が豊かな子はそれだけで語学の才能があります。そこを見てあげてほしいと思います。
そういった意味で、出川哲郎さんや、ルー大柴さんなんかは、ある意味、日本人の英語初学者がお手本にしたい人物ですよね。
というわけで、今回のテーマ、「英会話が上達しやすい人はどんな人?」
私は、「言葉に対する好奇心が強い人」という結論に至りました。
良い悪いの議論は後回しにして、
新しい言葉を覚える喜び、それを口に出してみる喜び、
使ってみる喜び、そしてそれが伝わってコミュニケーションが成立する喜びをもっと素直に味わってほしいと思います。
子どもが言葉を覚えていく過程で感じる喜び、本来言葉を身につけていくという人間の根源的な喜び、それをもっと多くの人に英語でも味わってほしいと私は切に願っています。