英検1級リーディング対策・長文攻略法~長文多読はムダが多い!長文に勉強時間を割くのも効率が悪い!~

英検1級の勉強法・攻略法

私が英検準1級取得後、模試も受けずに1級を初めて受験した時、問題冊子を開いて驚いたことは長文の多さでした。長文問題が増えるとは知っていましたが、まさかこれほどとは。驚いたというよりも、戦慄したと言った方が適切かもしれません。

いきなり戦意喪失したよね、もう

過去問演習やすでに受験を経験されている方はもう痛感されているかと思いますが、英検1級はまず問題の分量が半端じゃありません。パッと見た印象では問題全部が長文問題なのかと思うほどです。この記事では、そんな長文問題の対策はどういう方向性でいけばよいのか、ヒントを紹介します。

英検1級の問題はたしかに長文だらけだが、印象に惑わされてはダメ

英検1級の問題は長文がとにかく多い。これは確かです。
ですから長文に苦手意識があると英検1級の合格はいっそうハードルが高いものとなります。

しかし、ここで注意して頂きたいのは、問題の印象に引っ張られてしまい、長文対策を学習のメインに据えてしまうことです。
上で触れたように、英検1級はリーディングのパートも、リスニングのパートも、骨のある長文問題がこれでもかと続くため、多くの受験生が、受験勉強の戦略も同様に考えてしまい、長文問題の対策に時間を費やさなくてはという風に意識が向いてしまう傾向にあります。

そして、その対策として発想しがちなのが長文多読です。
英検1級の学習ブログでもこれをおすすめしている方が意外と多いんですよね。
しかし、私はおすすめしません。

今回は、なぜ長文対策に学習時間を費やすことはお勧めできないのか、
また、なぜ長文多読が英検1級対策として非効率なのか、
この二点についてお話ししたいと思います。

長文多読も長文対策に学習時間を割くことも不要

英語の学習としての長文多読は確かに効果的です。しかし、英検1級に合格するための学習戦略としては疑問が生じます。
結論から言うと、長文に多くの学習時間を割くことも、「長文多読」という方向性も、ムダが多い勉強と言わざるを得ません。
それどころか、ここに学習の力点を置いてしまうと、合格を遠ざけてしまう危険性があるんです。

好ましいリーディングパートの学習戦略~勉強に時間をかけるのは語彙!~

さて、あなたは英検1級の合格を目指すと決め勉強を始めました。
まずリーディングパートの学習戦略を立てなくてはなりません。
何を中心に学習を進めていくべきでしょうか。

これは私の意見ですが、リーディングパートの学習戦略としては語彙(単語)の対策に比重を置くべきです。
すなわち、ボキャブラリービルディングに時間を割くべきであって、長文対策には時間をかけるべきではないのです。
現に、私も学習を振り返るとそのほとんどはボキャブラリービルディングに力を入れていました。
また振り返ってみたときに英検1級合格に最も必要だったと感じるのもボキャブラリーの学習です。

まず、長文に時間を割くべきでない理由は「問題数」です。
第一印象では長文だらけという印象の英検1級ですが、良く見ると問題数は意外に少ないのがお分かり頂けるでしょう。
ではリーディングパートの問題数が一番多いのはどこかと言えば、それは「短文の語句空所補充」問題ですね。
ズバリ語彙の知識がストレートに問われる部分ですね。まずここを制することができないと話にならないワケです。
ですから優先順位として短文の空所補充問題の対策を盤石なものにする必要があります。

また、ここを盤石なものにしておくということが、後々戦術面にも良い影響を与えてくれるのです。
このパートに自信が持てるようになると、あなたは試験で、より多くの自由を手に入れることができます。

戦術面で選択肢が広がるのです。

英検1級の問題は、後半にいくにつれて「重く」なっていく構成になっています。
しかし、頭の疲れは後半にいくほど蓄積していきます。もし、これを逆に解くことができれば、すなわち重い問題を時間的にも集中力にも余裕のある前半に解くことができればどうでしょう。
圧倒的にラクになります。イコール、合格が見えてくるのです。

私がお勧めする「作文を先に解答する」という戦術も躊躇なくとれるようになります。
このアイデアを現実的なものにするためにも語彙の強化は絶対に必要なのです。

では、長文の対策として多読に時間を割くべきでないと私が考えるのはなぜか?
一つ目は、「効果が出にくいから」、
二つ目は、「そうしなくても点数がとれるから」、
これが理由です。

長文多読は、かけた時間の割に効果へは直結しません。
効果というのは長文対策単体で見たときの効果もそうですし、「英検1級の合格力」という学力トータルに対する効果として見た場合も同様です。

長文対策は「折衷型」!

私の持論では、語彙については「戦略」、作文(エッセイ)については「戦術」です。
そして、長文とリスニングはその折衷型だと思います。

このように部分部分(パート)ごとに意識してアプローチをしていくのが英検1級攻略のポイントです。

さて、上で「長文は折衷型」といいました。これは、戦略と戦術の双方からアプローチすべきということです。

まず戦略面です。まず語彙の力を盤石なものにする。そして、次にスキルとして「パラグラフライティング」の習得を目指します。

上の二つを押さえた上で、戦術面では解く順番、解答順をあなたの傾向に合わせて工夫していきます。手順をまとめると、以下のような感じですね。

①語彙を盤石にする
  ↓
②パラグラフライティングの概念を学ぶ
  ↓
③模試や過去問演習で解答順などの戦術を工夫する

私の場合を例にとると、合格した時の試験ではまず作文(エッセイ)に時間を割き、次に長文……残った時間で語彙の問題という風に解き進めていきました。
なぜこのような解き順で解いたのかについてはまた別の機会に詳しくお話ししようと思います。
私の場合、制限時間が迫ってきて焦りが生じると長文が目に入ってこなくなる傾向にあったため、長文を前半に回しました。

スラッシュリーディングよりもパラグラフライティングで英文の構成を知る!

スキルとしては「パラグラフライティング」と言いました。
『英検1級学習の方向性』という記事ではスラッシュリーディングについて触れていますが、重要度としては圧倒的にこっちです。
(追記:パラグラフライティング・セオリーについて学ぶことのできる教材を右の記事で紹介しています→『英検1級リーディング対策はこの1冊から』

「パラグラフライティング・セオリー」という概念を知ると、何がどこに書いてあるかということに「当たり」を付けることが容易になります。そうなるとすべてを読む必要がなくなり大幅な時間短縮が図れるようになるのです。

長文問題というと速く読めるようになることがテーマとなりがちです。そして、どうしても文章全部を速く読むことを目指しがちです。これは間違った学習の方向性だと言わざるを得ません。

そして、長文の勉強方法としてよく勧められているスラッシュリーディングは、今お話ししたような読み方のスピードをアップするための訓練です。
もっと厳密に言うと、スラッシュリーディングは頭の中で日本語に逐一訳さずに、文頭から英語の語順で読んでいく訓練です。
英検1級のレベルに達した人ならば、このクセは改善されていて問題とならないことが多いはずですから、今更スラッシュリーディングの習熟に時間を割くのは費用対効果が悪いなと私は感じます。

なにより、答えが書かれている部分というのはある程度決まっているのであれば、全てを精読する必要はないですよね。

それを知るための、「パラグラフライティング」です。つまり、英検1級の長文対策としては、スラッシュリーディングよりも「パラグラフライティング」とはどういうものなのかを学べばよいのです。
それによって、スラッシュリーディングよりもラクに解答できるようになるのは間違いありません。

しかし、英語で論文を執筆するのではありませんから、ほんのさわりの部分、どういうものなのか分かればそれで足ります。そして、そのためにはパラグラフライティングセオリーのさわりを押さえた上で、実際にいくつかの文章を読んで勘所をつかめば十分です。

文章の構成というものが分かってくると、その後は日常的に、まとまった分量の文章を読んだときに構成を意識できるようになりますから、段々自然と、欲しい情報が書かれている部分にピンポイントで目が向くようになります。多読をする必要はないのです。

これは、作文対策としても同じことが言えます。ああ、ここがまず導入部分で、次に理由を列挙してけばいいのね、という程度で十分です。

そして、気付いて欲しいのは、その文章に含まれる語彙のレベルが長文の難易度を決めているということです。
長文が多い、イコール難しいという感じがしますが、長文だから難しいのではないのです。
極端な例を出すと、10ページ分くらいある文章が目の前にあるとして、それが中学1年生で学ぶような平易な単語から成っている文章だとしたら、どうでしょうか。
たとえ時間がなかったとしても、流し読みで容易に内容を把握できるはずです。

そこに含まれる単語がハイレベルなものであるために、そしてそれらの語彙に十分に馴染んでいないために対応に手こずってしまうのです。

ここから分かることは、長文を難しくしているのは量ではなく、語彙だということが見えてきます。
従って、語彙に力を入れることは長文の有効な対策にもなるというわけです。

実を言うと、短文の空所補充問題だけに関して言えば、全ての問題についてアクティブボキャブラリーと自信を持って言えるレベルにまで達しなくても、正解肢を導くことは可能だったりします。接頭語からの推測などが典型的ですね。英検1級を受験するほど英語を勉強してきた人であればなおさら、これまでの知識の蓄積から、未知の単語に遭遇しても(この単語の意味はこんな感じだろうな……)というカンが働いてなんとなく正解にたどり着けてしまうことも増えてきます。

しかし、長文対策として見た場合、語彙がいわゆる「アクティブボキャブラリー」と呼べるレベルまで達していないと、精度とスピードを両立させながら長文中の単語に適切に反応することは難しくなります。リスニング問題に対しても同様のことが言えます。その点でも、語彙に時間を割くことは必須です。

仮に、短文の空所補充問題対策だけに限定して言えばすべてをアクティブボキャブラリーのレベルに持っていくことは必要ないとしても、できる限り多くの単語について、アクティブボキャブラリーのレベルにまで達するように心がけてください。(語彙の攻略法に関しては別の記事で改めて詳しくお話しする予定なので、ここでは軽く触れるにとどめますね)

たいへんそうな感じがしますが、そうすることでリスニングにもライティングにも、そして二次試験(面接試験)にも良い影響が波及していきます。つまり総合的に見ると効率が良くなるのです。

そして、いったんそのレベルまで達すると、単なる知識ではなく「自分の語彙」になってしまっていますから抜けがないのですね。こうなってしまうと、忘れてしまう不安に苛まれながら復習に神経をすり減らすということをしなくてもよくなります。こまめに知識のメンテナンスをしていかなくても自分のボキャブラリーの一部になっていますから、一定期間復習をしないうちに頭から抜けてしまったという悲劇をなくすことができるのです。

ここまでお話ししてきたことを踏まえ、そこから逆算して考えると、語彙に力を入れて長文の対策は比重を低くするのがベターというのがお分かりいただけるのではないでしょうか。

「車の両輪」を意識する

今回お話した学習戦略、そして今回は積極的には触れませんでしたが英検1級では合否を左右する重要な要素である戦術、この二つは車の両輪のようなものです。
今回のエントリーのメインテーマである長文に関しては特にそうだと感じます。
それが「長文は折衷型」とお話しした理由です。
あなたがもし長文の学習に悩んでいるのであれば、これを意識した学習にトライしてみてください。

さいごに

このように英検1級は、学力・記憶力以外よりも、いかに勉強と本番で「作戦勝ち」するかがポイントです。
逆にいえば、こうしたこと、すなわち出題者の手の内が読めるようになれば合格はグッと近くなります。
私も独学での受験でしたが、これらを考えるようになってようやく合格を手にすることができました。
相手の手口・手の内を知って戦術を考えるというのは英検1級合格のための必須科目と言えるでしょう。しかし、こうしたことはなかなか最初のうちは見えてこないものです。
ここは誰かの力を借りるというのも、短期合格を目指すのであれば有効でしょう。
逆にいえば、ここが誰かの力を借りるべき(あるいは借りることができる)唯一の部分ではないかと私は思います。早い段階からそれを知っていれば、独学であってももっと
短い受験期間で合格できていたのだろうと思います。このサイトでは、私が受験で得た「コツ」をできる限りシェアしていきたいと考えています。あなたが少しでもラクに合格を勝ち取ることを祈っています。

※この記事は、管理人が以前運営していた旧サイト(現在は閉鎖)より移行した記事に加筆修正したものです。

 

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