ある日パソコンの中のファイルを整理していたところ、以前英検1級に挑戦することにした方に私が送ったアドバイスメールの下書きが出てきました。各セクションにつき、どういう学習戦略で勉強したかという自分自身の体験を踏まえた助言になっています。読み返してみると、かなりざっくりとはしているものの、そこそこ受験生の参考にしてもらえそうな内容でした。せっかくですので今回本サイトで公開することにしました。
なお、数年前の私の意見ですので、今読むともう少し突っ込んだ説明をしないと伝わらないかなと思ってしまうようなアラも見えてくるのですが、それらに関しては追い追い別のエントリーで補足的に解説していくことにしますね。なぜかいきなり二次試験の面接のポイントから話が始まっている点、そして最後の頃の明らか飽きてテキトーになっていっている感じはまあご愛敬ということで、そのまま載せることにします。黄色で囲った箇所が、当時のアドバイスをコピペしたものです。
面接(二次試験)のポイント
難しい表現を使おうとして言い淀む,あるいは,沈黙してしまうよりは,基本的なレベルの単語を使ってでも積極的に自分の考えを述べていく方が良い評価につながると思います。
これは,作文に関しても言えることですが,「ワク」を作っておくことがお勧めです。これを守れば,スピーチの組み立ては楽になりますし,仮に,途中でうまく表現できなくても,フレームは守れますから,スピーチとしての体裁はなしている印象を与えられます。
スピーチでは,結論から述べることを徹底した方が良いと思います。聞き手にとって分かりやすいということはもちろんですが,この方が時間的な調整がし易いためです。どういうことかというと,冒頭で結論を述べておけば,次に続く,その意見の根拠となる「理由」の数で時間が調整出来るのです。時間が余っているようであれば,理由を付け加えていけばよいですし,時間が来てしまうようであれば,そこでもう一度結論を述べて,スピーチを締めてしまえば良いわけです。
そうすれば,時間切れで中途半端なスピーチになってしまった,という印象は与えずに済みます。
※多くの受験生が,予め,予想できる限りのテーマでスピーチの原稿を作ってそれを暗記して面接に臨んでいるようですが,これは学習効率が悪いと思います。
筆記試験対策(単語・語彙)
いわゆる「アクティブボキャブラリー」(自分の語彙として実際に使用できるレベル)にする必要があります。単に「知っている」レベルでは対応できません。
ボキャブラリーの量は,単語のセクションのみならず,長文読解,リスニング,全てにおいて影響してくるので,学習の比重はまずボキャブラリービルディングに置くべきです。
「知っている」レベルではダメですから,例文と音声が付いた教材は必須です。私は,最終的にはTOEICスコア850レベルの単語集と旺文社の「文で覚える プラス単熟語」(タイトル間違っていたらごめんなさい。英検用のグリーンの本です)をメインに使っていました。
あとは,ノートを用意して,ニュース番組などを観て気になった言葉やそれに関連する表現を,連想ゲーム的にどんどん派生させて書きこんで覚えていました。関連する単語は「チャンク」(塊)で記憶した方が定着しますし効率も良いです。
単語を覚えるときは,それが肯定的な意味を持つ単語なのか,否定的な意味を持つ単語なのか覚えるときに意識しておくと,試験で肢を切るのに迷ったときに役立ちます。例えば空所補充問題で,この文脈であれば否定的な意味を持つ単語が入るだろうな…というように。
また,ボキャビルの効率を上げるためには,各「接頭語」の意味を一通り押さえておくことは非常に役立ちます。未知の単語と遭遇した時に,接頭語の意味が分かっているだけで意味を推測できるようになります。
筆記試験対策(文法)
これは私もそうでした。伸び悩んでいた点数が一気に上がったのは,基礎知識に戻って徹底的にやり直してからです。中級者になってから基礎レベルの教材に戻って初めて見えてくるものがあります。
私自身は,始めのうちは,少しでも難易度の高いものをと思っていましたが,ある時点で基礎に戻ろうと思い立ち,合格した年は文法力の強化のために高校生用の英文法のドリル(出版社等忘れてしまいましたが,値段も数百円の,すごく薄いやつです)をひたすら繰り返していました。不思議な話ですが,これが一番点数の底上げにつながりました。
筆記試験対策(長文問題)
戦略面に関して言えば,「スラッシュリーディング」などの練習方法で,頭の中で日本語に変換せずに読めるようになることは必須ですが,「パラグラフ・ライティング」の概念を知っていると,文のどの部分にどの情報が書かれているか当たりをつけられますから、作文対策のみならず必須知識であると私は思っています。ジャパンタイムズで出している「TOEICテスト990点即解リーディング」という本は英検用の本ではありませんが,パラグラフ・ライティングのセオリーに従って長文を読んでいくという趣旨の本なので,非常に役に立つと思います(※この本は私が受験した時点ではまだ出ていませんでしたので、私自身は英検対策に使用していません)。
リスニング対策
色々シェア出来るテクニックはあるのですが,リスニングが苦手という方は,まずそもそもリスニングの量が圧倒的に足りていないというケースが多いように思います。一定量聴いているうちに脳内にその言語用の「回路」が作られると聞いたことがありますが,確かに,ある時点で突然聞き取れるようになる瞬間が来るという経験があるので,これは嘘ではないように思います。そのためには,まず英語を聴く分量をとにかく増やすことです。
この場合に使う教材は,「英語の例文→日本語訳」のようなものではなく,ニュースのようなまとまった分量のものを英語だけで録音してあるものでないと効果がないように思います。私は,ベレ出版の「社会人のための必須英単語」という本を何度も聴いていた記憶がありますが,これはおそらく準1級くらいのレベルで1級の対策としては少し足りないかもしれません。(私は,基本的にここの出版社の本ばかり使用していました。良質でかつ見やすいものが多いです。)
今であれば,YouTube等でお金をかけずにいくらでもニュースの動画やドキュメンタリー等が観られますからリスニングの素材には困らないと思いますが,始めのうちは内容を把握するために日本語訳が書いてある音声付の書籍で勉強するのが良いかもしれませんね。
「英語特有の音が拾えない」のではないのにリスニングが苦手なのであれば,それはおそらくボキャブラリーの問題だと思います。語彙が増えるに従って,その語彙レベルに応じたトピックであれば自然に聴き取れるようになっていくと思います。
(ここまで)
まとめ
結構、色んなことを考えて勉強していたんだなあ…
今回のこのアドバイスを発見し読み直した感想はそんな感じでした。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではないですが、時間の経過と共に記憶はどんどん風化していくものですから、みなさんも勉強中に得た気付きや戦略・戦術のアイデアなどは必ず書きとめておくことをおススメします。最後に大きな武器になりますからね。今回のエントリーもぜひ学習のヒントにしてみてください。